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『殺戮の野獣館』は読むハードコアスプラッタ

野獣館 そういうの苦手な人は読まないように。おゲレツ満載の小説だし、この記事もお下品なので。

 いんやぁ楽しませていただきました。はてなでご紹介いただいたdaddyscarさんに大感謝。この上もなく低俗で下品で「オエっとなる感じ」がこれでもかとばかり続くが、けしてお腹一杯にならないという不思議。性技だって48パターン全部試そうとしたら飽きがこないのと一緒。

 まずハードコア。強姦、獣姦、近親相姦。死姦、幼姦、阿鼻叫喚。嫐(女男女)も嬲(男女男)もある。まんぐり、八艘渡、緊縄、ロリペドなんでもござれ。ハードSM、食糞や飲尿まであれば百花繚乱だが、さすがにそこまではいかんかった。

 スプラッタも負けてない。一撃で顔の半分がエグりとられたり、食い散らかされ脊髄と下半身しか残っていなかったり、血まみれの親の前で娘(10歳ぐらい?)を○○したり、交合中に首チョンパだったり。ナイフ、銃、斧、チョーキング…と殺人手段もなんでもござれ(爆殺と薬殺がなかった)。

 じゃぁただのエログロバイオレンスかというとそうでもない。めちゃめちゃなストーリーだがこれがオモシロー。目を閉じアクセル踏みっぱなしの一本道だとアタリをつけていると、ラストでとんでもないオチが待っている。殺戮の「野獣館」のamazon紹介文はこんなカンジ。
 怪物が棲むと噂され、凄惨な殺人があとを絶たない「野獣館」。だが、すご腕の男ジャッジメント・ラッカーが、ついに野獣退治に立ちあがった!一方、鬼畜のような夫の追撃をかわし、娘を連れて逃走の旅に出た美貌の女性ダナ。このヒーローとヒロインの運命の出会いが、いままたあらたな殺戮の嵐を呼びおこす!

 ホラー界の最終兵器リチャード・レイモンが、この1作で斯界を激震させた、幻の傑作。衝撃の結末へ向け、強烈なエロスとバイオレンスが暴走する。


 キャラは全員どこかネジが外れている。鬼畜ダンナや野獣だけが狂っているのではない。妻はハンターに出会ってすぐに「体の奥深い中心が濡れてくる感じ」がして、12時間後に股を開く。鬼畜ダンナは往く路すがら屍累々を築くくせに、死体を見ると気分が悪くなってゲロを吐く。

 そうそう、登場人物がこれだけ沢山のゲロを吐く小説は珍しいかも。全員胃門が壊れてて、何かあるとすぐゲロを吐くか血まみれになるか肉塊と化す。

 ストーリーの骨格はS.キング「ローズ・マダー」やスティーヴン・ハンター「ダーティホワイトボーイズ」あたりを思い出していただければと…てか両者は本作を下地に書いたんちゃう? といいたくなるほど、「似てる」。マトモな人間は全員殺されていくお 話だと思って読んだほうが良い。

 んでラスト。衝撃というか笑撃。笑ったあたしゃ、狂っているのかも。そもそもダンナから逃げ出さなければこんなに沢山の人が死んだり「死ぬことよりも酷い結末」を迎えたりしなくてすんだんじゃぁないか? と考えた時点で笑いが止まらない。

 しかし、劇薬小説としてはまだまだ…と思っていたら初出1980年だよママン!「そういうの苦手」な人にとっては間違いなく劇薬となるかも。


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