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この本がエロい!2022

聖なる夜に性なる本を。2022年に愚息を喜ばせたエロマンガをご紹介。

注意すべきは、あくまで MY SON であってYOUR SON でないこと。趣味が違えば、好みも違う。未読の方は「こんなのがあるんだー」と生温かく見ていただければいいし、ご存知の方は「それが好きならこれはどう?」と逆紹介していただけると喜びます、息子が。

実用度が高く、かつ、読んで面白いエロマンガを厳選した。

おもちかえり(楝蛙)

おもちかえり
リアルな肉感というか、しっとりした肌感がすばらしい。
もし触ったら、やわやわとする一方で、沈み込んだ指を押し返す弾力があって、繰り返すと吐息が漏れ出てくるんだろうなーと思えてくる(そんなリアルさ)。

暗がりのなか、外からのほの明るさに照らされた裸身は、まさにこんな感じ。キレイで背徳的で、しっかりとエロい。
友だちの彼女を慰めているうちにお持ち帰りになったり、昔の彼女が泊まりにきてそのまま性欲全開になったり、なさそうでありそうなシチュエーションも好き。

特に『境界の彼方』の栗山さんみたいなショート+メガネっ娘とイタすやつが◎(表紙の子)。

先輩を頼って田舎から上京してきた女の子が、そのまま先輩の部屋に泊まることになる。で、襲われるのは先輩の方で、目覚めたら彼女が跨っている。どうやって大きくしたのかは不明だが、騎乗→Fぇら→後背→亀甲縛りのまんぐり返しとバリエーションが豊富なり。その度にくるくる変わる彼女の表情もまたイイ。

「挿入(はい)ってくる……!」とガマンして唇を噛みしめたあと、トロトロに溶けるようなイキ顔が生々しい。
女の身体がこんなに柔らかく、美しいのかと、改めて手を合わせたくなる。極めて実用的な一冊。

ギャルjkエロ漫画(牛牛牛牛牛牛)

ギャルjkエロ漫画1話〜14話
性交をリアルに描くと、「かなりグロい」ことが分かる。

当事者が夢中であるほど、快楽を貪ろうと必死になるほど、鬼気迫るような姿態になってくる。これはグロい。
自分の経験を思い返してみるにつけ、「ああ、確かに私もそんな顔してたかもしれないし、相手もそんな声やコトバを出していた」と実感が湧いてくる。

ネクラな高校男子が主人公で、もちろん彼女どころか、クラスの女の子と話したこともない。それが、図書委員で一緒になったギャルの子に「よろしくね」と手を握られ、舞い上がってしまい、惚れてしまう。

ネクラとギャル、接点なんて無いのだが、友人から「彼女、頼めばヤらせてくれるらしいぜ」と教えられ、意を決して申し込むことになるのだが……

その後のやりとりには爆笑した。 どう見ても「安西先生、バスケがしたいです……」の構図で、「エッチがしたいです……」と土下座する少年、面白すぎる。

そんな感じで、彼女のリードになるのだが、それも最初だけ。童貞少年のぎこちなさは、何度かの絶頂を経ると、こなれてくる。そして絶倫、ぜんぜん萎えないのが凄い。最初はからかい気味だったギャルなのだが、何度出しても復活して挑んでくる。

いつしか余裕が無くなってきて、無我夢中になる。「舐めちゃダメ、そこ汚いからぁ」というコトバを無視して舌を入れてきて、気をやるあまり69で失禁してしまうギャル、それをごくごく飲む……よくあるシーンなのだけど、生々しく凄まじく描写するので、自分がシているかのような感覚に陥る。

とはいえ、数えてみたら3時間で14回も出している(バケモノかよ)。しかも別れ際にも前かがみになっているので、常人の域を出ている。

身体の相性が抜群なのに気づいた二人は、これがきっかけで、お互いに快楽を貪り合うようになるのだが……という話。せつないけれど、「えっちがしたい」パワーの凄さを思い知るべし。ネクラで弱弱な男子が「えっちがしたい」というパワーに突き動かされるとき、最高にカッコよく見えてしまうのが笑えるし泣ける。

TS☆Revolution(史鬼匠人)

TS☆Revolution【1話試し読み付き】
クッソ笑った。「ヤリチンが女になったら」という設定でアクセル限界えっち臨界まで踏み込む。

パリピのミキオは夜道で拾った美女と公衆トイレでセックる……翌朝、グラマラスな女になっていた。友だち1(パリピ)に言っても信用してもらえず、「おねーさんキレイだね」と口説かれ→飲み会となり→なし崩しに押し倒され、合体と相成る。

「女は男の8倍気持ちいい」を身をもって味わうミキオ(ちょっと羨ましい)。連戦の末、二人とも倒れこみ眠ってしまう。

翌朝、お約束どおり友だち1は黒髪の美女になっていた。どうやら、イタすと感染して女になるらしい。こんな感じで、友だち2(パリピ)、友だち3(パリピ)…と増えていく。TS(トランスセックス)感染症として瞬く間に広まっていき、女体化パンデミックとなる。

昨今の感染症の暗い世相と重なるが、うぇい系+パリピのノリで、気持ちよければ全て良しの勢いで転がっていくサマがロックしてて面白い。

愚息を放り出してひとしきり爆笑した後、明るく楽しくネチっこい合体シーンを実用に供する。なんか同性に勃起しているみたいで妙な気分も味わえる。ジェットコースターみたいなエロマンガ。

BorderLine(桐原湧)

BorderLine【FANZA限定特典付き】
この写実は好き。

設定は嘘でいいんよ。男にとって都合が良すぎるし、数ページでえっちシーンまで持っていかなければならないし。それ以外のところでリアルな夢を見させてくれれば御の字―――そういう姿勢で読むと、これは「お手入れの無さ」というリアルと、肩甲骨のリアルだな。

ヘア写真集とかグラビアに載るようなヘアは、きちんと「お手入れ」している。繁茂エリアをシンメトリカルにしたり、濃度を整えることで、大人の女として見られることを意識している。

だがこれは、大人の女のボーダーライン上にいる少女たちのため、「そのまま」となっている。だから、個人差のあるままの自然な様子を見ることができる。

これに加えて、華奢な肩甲骨が良い。後背からの描写の時に際立っているのだが、背中は少女なのに、下半身に視線を移動させると肉厚の成熟した身体となっている。このアンバランスが良い。

はじめてラブホに入った高校生カップルとか、図書準備室での遊びとか、はじめてのお泊りとか、見ているこっちまで幸せになってくる。上にまたがって、恥ずかしいのに気持ちい……と呟く姿がえっちなり。

不完全マーブル(きい)

不完全マーブル【デジタル版限定おまけ付き】
せつなさ&実用度No.1なり。

多感な年頃の性を、いつくしむように丁寧に描いている。

表紙の子は、「日陰ちゃん」と呼ばれている。地味で、引っ込み思案な少女と、罰ゲームのため彼女に告白するよう強制された少年の性愛は、いじらしく、応援してあげたくなる。

最初は、彼女のを舐めるだけだったのが、だんだんエスカレートして、口でしてもらったり、互いに舐め合ったりしていく。そして、「今日、ウチに誰もいないんだけど……来る?」という問いかけに、てててっと走って「行くー」と答えるのが、かわいすぎる。

お互い初めてなので不器用で、正常位で入れた途端、出そうになる彼。そんな彼の手を取って自分の胸に当てて「エへへ、ドキドキすごい」とする彼女、いじらしすぎる。

性春している二人を愛おしむマンガかと思いきや、性交シーンもきちんと描かれていて◎なり。一切お手入れしてなさそうなヘアを掻き分けて舐めるところとか、きちんと挿入(はい)っているところのキツさと柔らかさがリアルに表現されているところが実用的なり。

競泳褐色少女が友人の男を寝取る(≠ネトラレ)話とか、男子寮で憧れの先輩とする話とか、どれもこれも良きものばかりなのだが、シチュ・せつなさ・情感がMAXにまで盛り上がったのが、「六月の雨の夜に」だな。

接点がなく、ほとんど話すこともなかった(でも気になっていた)クラスメイトに傘を貸したのがきっかけで、都合の良すぎる偶然が重なり、お泊りとなる。溜めに溜めた情動が一挙に奔流となるのだけど、服を脱ぐのももどかしく、ベッドに行くのも間に合わずに身体を重ねる。エロくてグロいんだけど美しい。

「そんな男に都合のいい状況なんてあるかよ!」というのはご尤も。だけど、都合が悪いのは現実だけで充分で、せめてエロマンガの世界だけではご都合主義を完徹させてくれ。

カラダの美しさや柔らかさの表現に目が向いていたけれど、シチュエーションの妙やイキ顔の味わいを追求するようになった。過去へ潜っていくと、私好みの変遷も辿れて面白い。このラインナップから、お薦めを教えてくれるとありがたい。

よいエロ本で、よい人生を。

テーマ : エロマンガ・同人誌
ジャンル : アダルト

この本がエロい!2019

現実の人間は臭くて煩い。そこに男も女も関係ない。

だから、せめて、イメージの中で男や女を楽しもう。理想化された身体&キャラで、都合の良い関係性の中で、泣き、笑い、胸をときめかせ、興奮したい。えっちな本に目的があるとするならば、これだ。

だから、男は筋肉マッチョの秀才である必要はなく、黒髪ロング巨乳処女である必要もない。むしろ、フツーの、「ありえたかもしれない高校生」の世界線の一つだったり、「ありえない世界におけるいまの自分」であるほうが良い。

『求愛エトランゼ』(ホムンクルス)[FANZA]

求愛エトランゼ

『はじらいブレイク』からお世話になっているホムンクルスの最新刊。画力、構成、ストーリー、えっちシーン全てにおいて完璧オブ完璧。ええ、もう、今年も大変お世話になりました。好き合う二人が、不慣れな状況を乗り越えて結ばれるという、王道直球のエロスが素晴らしい。

特に、不思議な石の力により、近づくだけで発情しあう「恋ひ結び奇譚」は、「好きじゃないのにおかしくなっちゃう」オカルティック・ラブという新しいジャンルを垣間見る思い出し、ハイティーンのバージン喪失が多い中、シングルマザーと高校生男子がむさぼりあう「ヒメゴトハニートラップ」が最高なり。

もうね、NTRや調教、異様なシチュ、意に沿わない行為といった「現実の優化コピー」は要らない。そんなんはアプリや掲示板にいくらでも転がっている。わたしは、現実から目を背けたくてえっちなマンガを読む。愛し合う二人が、さまざまな障害を乗り越え、嬉し恥ずかし結ばれる、そんなドキドキを何度も味わいたいが故に、えっちなマンガがあるのだから。

円光おじさん(師走の翁)[FANZA]

円光おじさん

『アイブカ!』からお世話になっている師走の翁のシリーズ傑作。円光というと「贅沢したい女の子が意に反してカラダを売る」というネガティブなイメージがある(なぜなら現実がそうだから)。だが本書はその真逆で、おじさんとのするのヤバいスゴいキモチいい! というポジティブ全開なのがいい。

このおじさん、ぽっちゃり会社員の外見ながら正体不明のお兄さん。なぜか現金を大量に持っており、大盤振る舞いするだけでなく、女心をこの上もなく大切にし、さらにイキポイントも的確に押さえている円光のプロフェッショナル。

一番楽しかったのが、手マンカラオケ。JK3人とカラオケボックスに行くんだけど、おじさんがこんな提案をしてくる。

1.手マンされながらカラオケ90点以上を目指しちゃお !!
2.参加料は3マン円 90点以上とれたら10マン円 !!
3.曲が終わるまで手マンは止まらない
4.感じる状態から開始するため、歌う前に別室で5分間、愛撫タイム

もともとは、手コキカラオケだそうな。いわゆるハッピータイムのあるお店に行くと男性が受けられるサービスのやつ。

カラオケ行きまくっている女子高生なら、90超えるのあたりまえ。そこで問題は4. になる。愛撫タイムの5分間、さぁどうする? と構えていたら、予想外の(そして完璧に正解の)行為に及ぶ。おじさんおそるべし。

現実にはありえない、可愛い女の子がいちばん可愛くなる表情と身体を、余すところなく見ることができる。師走の翁の素晴らしいところは、女の子の柔らかさ。女の子の身体に触れるときに沈む指先や、下着を外した後の自然の重みで、柔らかさをリアルに見て取ることができる。明るく楽しい円光ならこれ。

てんぷてーしょん(Reco)[FANZA]

てんぷてーしょん

好き好き大好き超あいしてる。こんなに可愛い女の子が、これほど貪欲に迫ってくる。

がんばったご褒美にシて欲しい……と迫ってきたり、イジワルされて嬉ションしちゃう女の子の話など、非実在性女の子ばかりなり。夢ではないかしらん(夢だけど)というあらゆる雄の望みを、そのまんま夢見させてくれる。

一番グッと来たのが「こあくまセルフィー」。えっちなネットの写真を見ていたら、「そんなのが好きなの?」と先輩女子に見とがめられ、以後、続々と彼女の自撮りが送られてくる展開に。最初は悪ふざけで、パンチラ胸チラ程度だったのが、だんだんエスカレートしていき……なんだけど、いたずら度が妙にリアルで気色良い。

ずいぶん男に都合のいい展開ばかりだけど、これでいいのだ。都合が悪いのは現実で十分だから、現実なんか犬にでも喰わせておけ

昔はカッコよかった(すぺ)[FANZA]

昔はカッコよかった

えっちなマンガで号泣するなんて、思ってもみなかった。

「昔はカッコよかった」のは姉だ。努力家で優等生で、テレビのインタビューも受けていた。でも、姉は頑張りすぎて心を壊してしまった。「あんなにカッコよかったお姉ちゃんは、もう一人では何もできなくなってしまった」

その姉を間近で見ているのが弟だ。昔からお気楽で、成績もたいしたことない少年だ。だが、姉が心身を病んでしまったことは分かる。両親ともに心配しているが、その心配こそが姉の負担になっていることも分かる。このままだと、姉は、何もできない自分を責めるあまり、自殺してしいかねないことも分かる。

なにか、なにかできないか? 姉を現実につなぎとめ、「生きていたい」と思ってもらえるような、今からでも間に合うこと。

そこで、緊急避難的に姉を求める。

このシーンは胸を撃つ。お互いに好きで大切に思っている。そして、初めてのことだからどうしていいか分からずとまどっている。それでも、「お姉ちゃんが欲しい、(だから死なないでいて欲しい)」ことを、行為で示そうとする。

こんなに切羽詰まって悲壮感のあるのは、『君が望む永遠』以来や(交通事故の後のやつね)。生きるためではなく、死なないでいるための行為。

そして、弟は変わり始める。姉は壊れたままでいい。無理に治そうとするのは姉にみじめな思いをさせるだけだ。だから、自分が支えていけるように、将来のことを考えて勉強に打ち込む。この弟がカッコいい。

 「姉ちゃん いままで よくがんばったな
  俺が本気になったから 姉ちゃんはもうゴールだ」

ここ、涙が止まらない。えっちなマンガなのでそんなシーンはふんだんにあり、実用度は高い。だが、ふたりの思いやりが強すぎて「よかったね……よかったね!」という感動の方が上回る。

近親相姦ものの場合、結婚や妊娠というハードルがある。弟は結婚の約束をするのだが、その後の展開がまさに神がかっており、最後のページでも泣いてしまう。人生に躓いてしまったとき、そばに誰かがいること。その、かけがえのないことに、あらためて気づかせてくれる。

何度でも言う、都合が悪いのは現実でたくさんだ。だから、せめてフィクションの中では、幸せな記憶を。

「この本がエロい!2019」は以上の通り。お薦めの作品があれば、ぜひ教えて欲しい。なぜなら、わたしが知らないエロ本は、きっとあなたが読んでいるのだから

よいエロ本で、よい人生を。

テーマ : エロ漫画
ジャンル : アダルト

この本がエロい!2018

 概念としての女が好きだ。

 うなじにかかる後れ毛、鎖骨や背骨のしっとりとした盛り上がり、二の腕やふくらはぎの肌感、「あの気配」としか言いようのないフェロモンは好ましい。

 さらに、ネコそっくりのくぐもった笑いや、サカリのついた艶やかな嬌声、触れるたびにトーンが変化してゆく概念も好ましい。女は楽器だ。腰の律動に応じた打楽器のようにも、手や口の運指により奏でられる弦楽器であり吹奏楽器のようにも振舞う。

 しかし、現実はそれら以外もひっくるめての「女」である。言っただの言わないだのくだらないマウンティングや、機嫌を直すためのめんどくさい手続き、イライラの被曝・感情爆風の巻き込まれといった現実も漏れなくついてくる。

 そんな現実をさっぴいて、概念のみを味わうのであれば2次元が良い。「女は2次元に限る」というのは、けしてリアルから目を背けているのではなく、概念としての女を楽しむための手段なのである。

 一般にアブノーマルと判定される行為や、現実なら淫行条例に触りまくる相手の、「概念」とつきあうのである。「そんなの都合良すぎ、ないわー」というツッコミ上等。都合が悪いのは現実だけで充分だ。

 そんな「概念としての女」を背景として、恒例となりつつある「えっちな本2018ベスト」をご紹介しよう。


写真とフェチ 視線のエロティシズム
花盛友里、須崎祐次、相澤義和、山本華漸ほか



 今年のベストフェチ。

 「概念としての女」のパーツパーツを切り出すと、様々な「好き」が見えてくる。

 「唇」「うなじ」「ふともも」「おしり」といったパーツや、「濡れたシャツの透け感」「白肌に汚泥」「下着の響き」などのシチュエーションに執着する人もいる。こうした他人の「好き」をカタログ的に横断することができるのが『写真とフェチ』である。

 たとえば、青山裕企「スクールガール・コンプレックス」の、机に突っ伏している女の子を上から覗き込むアングルとか、制服で体操座りするが絶妙な角度&深度で見えないとか。あるいは、山本華漸「蛸と美女」が強烈だ。白キャミの女の子と巨大な蛸。黒バックに真っ白に浮かび上がる肌に、ねっとりと絡みつく触手が、たいへん葛飾北斎している。

 他にも、剥き出た歯列、背中のくぼみ、黒タイツの響き、ひかがみといった様々な「好き」が次々と並べられており、嗜好の可能性は思考の可能性と軌を一にすることが分かる。つまり、好きに限界はないのである。官能と陶酔の感度を増やす写真集なり。

 「好き」の概念に溺れろ。


放課後の優等生
笹森トモエ

放課後の優等生放課後の優等生

 今年のベストシコリティ。

 昨年のクリスマスイブに公開した「このエロマンガがエロい!2017」のコメント欄で教えてもらったやつ(ありがとうございます!)。リビドーにモロに刺さるエロマンガですな。

 同人作家として活躍していたのが、商業誌でも描き始めたようだ。圧倒的な画力のクオリティがものすごく高い。女の躰のきれいなラインが眼福眼福するだけでなく、男に都合よすぎるシチュ&キャラなので、安心して読める。

 しかも(ここ重要!)、互いに「好き」なんだよね。「嫌よ嫌よも好きのうち」的な、なし崩し展開や寝取られセグメントもあるが、無理強い行為は勘弁な。笹森トモエ作品は、そういうのが無く、好きな男女が好きなだけ乱れるというやつ。あくまで好みの問題なのだが、これ大事。

 概念としての巨乳、概念としてのムワっとしたニオイ、そして概念としての女体が美しい。概念としての黒髪清楚女子高生に搾り取られる男の子が羨ましすぎる。

 うつくしくてうらやましい、シコリティ溢れる傑作。

幾日
幾花にいろ

幾日 【「咬合」1話無料サンプル付き】幾日 【「咬合」1話無料サンプル付き】

 今年のベストえっち。

 圧倒的なリアル感が凄い。概念としての女を探しに2次元に向かったにもかかわらず、体温、体感、匂いと臭いが伝わってくる。画面から美とエロが放射する感じ。

 ストーリーが一番良いなぁ。好きあう男女が一線を超えようとするときの引き合いの「えいやっ」といった思いが伝わってきてよい。ヘンにゲームな駆け引きやせず、(特に女性の)まっすぐに向かっていく素直さにニヤニヤする。

 さらに、手腕のしぐさが自然できれい。一つ一つ、たしかにそんな「動き」をする、そういやそういう風な姿勢をしてる、と思い当たることしばしば(ここもリアルを引き出している)。

 すごーくむかーしだけど、富樫『森の妖精のはなし』という、これまた傑作エロマンガがあったんだけど、この作品は下着や服のシワがポイント。ものすごく観察して描いており、シワがリアルを引き出している。それに比べると、『幾日』は腋や太ももから足にかけての皮膚のシワがリアルなり。

 以上、今年わたしを幸せにした概念としての女でした。

 よいエロ本で、よい人生を。

エロとスケベの違いとは

 ここでは、エロとスケベについて考察する。エロもスケベも色を好むことだけれど、わたしの感覚では両者は異なっている。エロは好色・官能・媚惑的といった言葉がふさわしいが、スケベだと、もっと本能に訴える形容詞が欲しくなる。

 あ、最初に断っておくが、エロとスケベは二者択一のものではない。「どちらかというとエロい」とか「スケベっぽい○○」といった傾向的なものを指す。また、sex のあるなしは関係ないし、エロはプラトニックなものというつもりも毛頭ない。

 じっさい、キャミソール姿の嫁にエロを感じて欲情し、後ろから挑んだこともある。あるいは、互いの汗や愛液にまみれて交合しているとき、感覚的に自他が一体化していて、スケベなのは自分なのか嫁なのか分からなくなったときもある。つまり、嫁さんにエロスもスケベも両方感じ取れる、というわけ。

 では、両者の違いはどこにあるのか?

 それは、感覚の違いにある。

  • 視覚・聴覚で感じるのがエロ
  • 触覚とか味覚とか、より本能に近いところでの感覚で味わうのがスケベ

 あるいは、相手との距離があるところで伝わってくるのがエロ、くっつきあって流れ込むのがスケベ感覚なり。ただし、同じ感覚の中でも「におい」は別格なので要注意→匂いがエロで、臭いがスケベ。これはひょっとすると、人によるかもしれない。カマンベールチーズの独特な"におい"を好む人もいれば、「カビ臭」だと感じる人もいるように。

  • 匂い:良い"におい"→かすかなコロンやシャンプーの香り
  • 臭い:悪い"におい"→愛液や汗、わずかに尿の入り混じった生臭さ


 エロマンガで例えれば、「ガールズシャワー」と「エロい本」といったところか。

ガールズシャワー

 「ガールズシャワー」は、2chの昨年のエロマンガランキングでトップ奪った作品で、近親相姦ものが妙にせつなくかつエロい。無毛のエロリは認めない派のわたしだが、不覚にもハマってしまった。泣きながら騎上位の妹に、せつなさみだれ撃ちになるはず。あるいは、白板でない高校生カップルものはコミカルでエロい。濡場の書き込みは、キッチリ仕事しているのでイヤらしいことおびただしいが、「エロ」の領域を出ない。つまり、「におい」が感じ取れない。

エロい本

 その一方、有毛というか、剛毛のお姉さんたちの官能的な日常を描いた「エロい本」は、エロいというより、スケベマンガというべし。メイド、眼鏡、オタク、兄妹、看護婦、委員長のキャラは違えども、毛むくじゃらのアソコから臭ってくるようだ(しかもキツめのやつ)。「ガールズシャワー」の愛液がサラサラしているなら、こっちのお姉さんのやつはドロドロ、しかも白濁しているに違いない。sex とは、互いの体液を混じり合わせて、その生々しい臭いにまみれる行為だと思えてくる。

 小説で例えていいなら、「ROOM NO.1301」と「花と蛇」になるだろうか。前者がひたすらエロい小説で、後者はスケベ心を1200%満足させる作品なり。

 「ROOM NO.1301」は、ツンデレ小説としても名高いが、それだけでない。肝心の濡場は省略してあって、その行為を振り返った会話とか、思い出し(顔真っ赤)の描写によって、読者に忖度させる高等テクを用いている。したがってこれは、プラトニックな恋愛話ではない。ボーイはガールと出会うだけでなく、やることをちゃんとヤっている(犯らざるをえなくなっている、というべきか)。高校生にとって、sex は確かに大切なテーマなんだけど、それに囚われちゃいけない。もっと大切なのは、そこへいたるまでの"恋愛"だ、ということを繰り返し読者に思い起こさせている。読み手は、行為の後の残り香をかぐような感覚を楽しめることを請合おう。

 その対極が「花と蛇」。誘拐→緊縛→浣腸→剃毛→○○→××プレイと、ワルい奴らが誘拐してきた令嬢・貴婦人にありとあらゆるイタブリを追求する話(全10巻)。非常に密度の濃い場面が延々と続き、犯られる女だけでなく読み手も「もうヤメテ」と叫びたくなる。ツンツンした令嬢が堕ちていくサマを味わうにはテンポ速すぎ。特筆すべきは「大便」。浣腸の場面もキッチリと描かれているため、その臭いもちゃんと伝わってくる。読者が耐えられるかどうかは別として、これはエロではなく、ひたすらスケベな小説。

花と蛇

 ネットで知られている人でいうならば、「バブルの逆襲」の舞子さんや、「性的冒険」菜摘ひかるさんがエロで、「美佐子の告白」で有名な美佐子さんがスケベだろう。快楽の追求という麗句ではなく、(言葉どおり)ケモノのように振舞える美佐子さんから、ニオイがわきたってくる←あえてリンクしないので、せいぜいWayback[参照]して頂戴。

 二次元と三次元に違いがあるとするならば、それはエロとスケベだろう。二次元にエロはあってもスケベはまだまだ、においが漂ってくる話がない。二次元が三次元に絶対かなわないのは、そこ。あるいは、二次元で描かれる白痴&「らめぇ」な顔は、リアルでのスケベな瞬間の表情と全く異なる。いわゆる「イク」顔ではない。こればっかりはちゃんと自分の目で確かめないと。未見の方は、彼女・嫁を調教するなり開発するなり、自ら屈服するなり服従するなりした後で、堪能してくれ。

このエロマンガがエロい!2017

 聖なる夜に性なる本を。2017年に愚息を最も喜ばせたエロマンガをご紹介。

 注意すべきは、あくまで MY SON であってYOUR SON でないこと。趣味が違えば、好みも違う。なので、未読の方は「こんなのがあるんだー」と見ていただければいいし、既読の方は「それが好きならこれなんていかが?」と逆紹介していただけると幸甚です。

 エロマンガの山から、どうやって好みを見つけるか? 実はいまだに試行錯誤なのである。上手なマッチング方法を見つけたなら、ひと財産築けるほどだろう。ただ、一つの基準を設けている。

 それは、「やれたかも」ではないというラインである。[やれたかも委員会]では、もしかしたらあの子とヤれてたかもしれない......という男たちの美しい思い出が語られる。その、まさにその絶妙な閾値を超えた先のリビドーを生々しく展開している作品こそが、愚息にとっての傑作だ。あの日あの時あの場所で君とやれていたから、僕らは今では、どろり濃厚なまま、というシチュが良い。

 男女が一線を超えるのは簡単じゃない。めんどくさいし、後あと大変だし。そういう前提やら後処理やらをカッとばし、男にとって都合の良い世界が作り上げられているのがエロマンガというもの(都合が悪いのは現実だけで充分)。

 ただ、都合が良すぎると、今度はファンタジーじみてくる。リアルに寄りすぎると「やれたかも」になって何も始まらないし、ファンタジーに倒しすぎると食傷になる。行為にいたるプロセスや心情や動機付けにも目を配るし、行為そのものの真に迫る度合いも満足させねばならぬ。要するに、わたしの愚息は超めんどくさいのだ。

宵はじめ

こっぽり生ビール

宵はじめ

 まず、『宵はじめ』(こっぽり生ビール)、これは良い。連載中から息子が大変お世話になりました。ハタチ前後で経験浅めで、酔った勢いで迫ってみたものの意気地がなくて寄りきれず......あわや「やれたかも」になるパターンが、女の子の方から最後の一押しが来る。まんざらでもないどころか、実は逆で「このとき」を待っていたのだ、という「やれたかも」をリアルにするとこうなる。

 やりとりする会話のぎこちなさや、初めて同士による上手に出来なさ加減が、いちいち現実的で芯を食う。若さ故の初々しさと、若さに任せた豊満さが淫らでたいへんよろしい。あと、寒いところでまぐわうと、吐く息や体の内からのニオイが白く見えるんだよね。そういういちいちをきちんと書き込んでいるのが生っぽさを向上させる。大学生で、(下心とか抜きにして)トモダチとして部屋呑みしていたら、本気になだれ込むのが良い。「だめだよ、酔ってるからといってこんなことしちゃ...」「だいじょうぶ、わたし、酔ってないから」という会話に撃たれました。

群青ノイズ

きい

群青ノイズ

 次は『群青ノイズ』(きい)、やっぱり良いですな。エロスそのものも実用性が高いけれど、なぜそうなるかの恋愛パートが記憶にクる。情緒とリビドーの両方を強く刺激する汎用兵器なり。

 「大人になりつつある少女」ってのは、身体のラインが硬いはずなんだけれど、つかむと柔らかい。同時に、異性を怖いと思う反面、性を知りたい鎮めたい気持ちも高まっている。好奇心は子猫を殺す、悶々とした感覚を女側から描いた「LOVERS」がきれいだ。硬いのに柔らかい、怖いのに知りたいという「ありえなさ」が、少女の日焼け跡を女のカラダに残しているミスマッチによく映える。

 最も切ない思いをさせられたのは、「つめたい雨、やさしい君」だ。ボーイミーツガールから、トモダチ。そしてトモダチからだんだん仲良くなって......までの過程が走馬灯のように体位とシンクロするのだが、それが美しいとともに嫌な予感を招き寄せる。黒髪ロングの子猫みたいな子がお見舞いに来る話は、ずーっとニヤニヤしながら読んでいた。愚息を慰めるよりも、ほっこり幸せになるお話としても優秀なり。初版はエラい高値がついてしまっているので、12/27に発売される新版の予約をするべし。

33歳みだら妻

黒木秀彦

33歳みだら妻

 そしてラストは、『33歳みだら妻』(黒木秀彦)、これは生々しい。えっちなマンガなのだから、えっちに至るのは当然のつもりで読むのだが、当然のようにそんな展開にならないのが面白い。客観視しようとしている一人称の描き方なので、まるで性のドキュメンタリーを読んでいるような感覚に陥る。やれるのか、やれないのか、いかにもありそうなノリの中、すっと一線を超えてしまう。

 そして、いったん女のスイッチが入るやいなや、それまでの冗談っぽさをかなぐり捨てて、一気に欲望をまくしたてる。お願い倒せばやらせてくれるんじゃないかしらん、という「あわよくば」感が見事にキまる、ハまる快感が良い。

 たとえば、知り合いの人妻から「キスの練習をさせてくれ」という、揶揄ってるんだか誘ってるんだか分からないようなシチュから始まって、冗談のような本気のようなやりとりの後、ガッツり走る話。夫婦交換生活を互いにビデオチャットで常時モニタリングするというゲーム性の高いスワッピングの話。横に旦那がいるのにコタツの中でいちゃつくとか、めっちゃ幸せそうな情事なので、興奮するというよりも、読んでるこっちが楽しくなる。

 以上、愚息を幸せにした3冊でした。あなたのお薦めがありましたら、ぜひご教授くださいませ。来年は掃除朋具と幾花にいろの単行本が出るといいなー

 よいエロマンガで、よい人生を。
プロフィール

Dain5

Author:Dain5
スゴ本より成人向のキッツいのを。
いいのがあったらご教授を。

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