この本がエロい!2019
現実の人間は臭くて煩い。そこに男も女も関係ない。
だから、せめて、イメージの中で男や女を楽しもう。理想化された身体&キャラで、都合の良い関係性の中で、泣き、笑い、胸をときめかせ、興奮したい。えっちな本に目的があるとするならば、これだ。
だから、男は筋肉マッチョの秀才である必要はなく、黒髪ロング巨乳処女である必要もない。むしろ、フツーの、「ありえたかもしれない高校生」の世界線の一つだったり、「ありえない世界におけるいまの自分」であるほうが良い。
『求愛エトランゼ』(ホムンクルス)[FANZA]
『はじらいブレイク』からお世話になっているホムンクルスの最新刊。画力、構成、ストーリー、えっちシーン全てにおいて完璧オブ完璧。ええ、もう、今年も大変お世話になりました。好き合う二人が、不慣れな状況を乗り越えて結ばれるという、王道直球のエロスが素晴らしい。
特に、不思議な石の力により、近づくだけで発情しあう「恋ひ結び奇譚」は、「好きじゃないのにおかしくなっちゃう」オカルティック・ラブという新しいジャンルを垣間見る思い出し、ハイティーンのバージン喪失が多い中、シングルマザーと高校生男子がむさぼりあう「ヒメゴトハニートラップ」が最高なり。
もうね、NTRや調教、異様なシチュ、意に沿わない行為といった「現実の優化コピー」は要らない。そんなんはアプリや掲示板にいくらでも転がっている。わたしは、現実から目を背けたくてえっちなマンガを読む。愛し合う二人が、さまざまな障害を乗り越え、嬉し恥ずかし結ばれる、そんなドキドキを何度も味わいたいが故に、えっちなマンガがあるのだから。
円光おじさん(師走の翁)[FANZA]
『アイブカ!』からお世話になっている師走の翁のシリーズ傑作。円光というと「贅沢したい女の子が意に反してカラダを売る」というネガティブなイメージがある(なぜなら現実がそうだから)。だが本書はその真逆で、おじさんとのするのヤバいスゴいキモチいい! というポジティブ全開なのがいい。
このおじさん、ぽっちゃり会社員の外見ながら正体不明のお兄さん。なぜか現金を大量に持っており、大盤振る舞いするだけでなく、女心をこの上もなく大切にし、さらにイキポイントも的確に押さえている円光のプロフェッショナル。
一番楽しかったのが、手マンカラオケ。JK3人とカラオケボックスに行くんだけど、おじさんがこんな提案をしてくる。
1.手マンされながらカラオケ90点以上を目指しちゃお !!
2.参加料は3マン円 90点以上とれたら10マン円 !!
3.曲が終わるまで手マンは止まらない
4.感じる状態から開始するため、歌う前に別室で5分間、愛撫タイム
もともとは、手コキカラオケだそうな。いわゆるハッピータイムのあるお店に行くと男性が受けられるサービスのやつ。
カラオケ行きまくっている女子高生なら、90超えるのあたりまえ。そこで問題は4. になる。愛撫タイムの5分間、さぁどうする? と構えていたら、予想外の(そして完璧に正解の)行為に及ぶ。おじさんおそるべし。
現実にはありえない、可愛い女の子がいちばん可愛くなる表情と身体を、余すところなく見ることができる。師走の翁の素晴らしいところは、女の子の柔らかさ。女の子の身体に触れるときに沈む指先や、下着を外した後の自然の重みで、柔らかさをリアルに見て取ることができる。明るく楽しい円光ならこれ。
てんぷてーしょん(Reco)[FANZA]
好き好き大好き超あいしてる。こんなに可愛い女の子が、これほど貪欲に迫ってくる。
がんばったご褒美にシて欲しい……と迫ってきたり、イジワルされて嬉ションしちゃう女の子の話など、非実在性女の子ばかりなり。夢ではないかしらん(夢だけど)というあらゆる雄の望みを、そのまんま夢見させてくれる。
一番グッと来たのが「こあくまセルフィー」。えっちなネットの写真を見ていたら、「そんなのが好きなの?」と先輩女子に見とがめられ、以後、続々と彼女の自撮りが送られてくる展開に。最初は悪ふざけで、パンチラ胸チラ程度だったのが、だんだんエスカレートしていき……なんだけど、いたずら度が妙にリアルで気色良い。
ずいぶん男に都合のいい展開ばかりだけど、これでいいのだ。都合が悪いのは現実で十分だから、現実なんか犬にでも喰わせておけ。
昔はカッコよかった(すぺ)[FANZA]
えっちなマンガで号泣するなんて、思ってもみなかった。
「昔はカッコよかった」のは姉だ。努力家で優等生で、テレビのインタビューも受けていた。でも、姉は頑張りすぎて心を壊してしまった。「あんなにカッコよかったお姉ちゃんは、もう一人では何もできなくなってしまった」。
その姉を間近で見ているのが弟だ。昔からお気楽で、成績もたいしたことない少年だ。だが、姉が心身を病んでしまったことは分かる。両親ともに心配しているが、その心配こそが姉の負担になっていることも分かる。このままだと、姉は、何もできない自分を責めるあまり、自殺してしいかねないことも分かる。
なにか、なにかできないか? 姉を現実につなぎとめ、「生きていたい」と思ってもらえるような、今からでも間に合うこと。
そこで、緊急避難的に姉を求める。
このシーンは胸を撃つ。お互いに好きで大切に思っている。そして、初めてのことだからどうしていいか分からずとまどっている。それでも、「お姉ちゃんが欲しい、(だから死なないでいて欲しい)」ことを、行為で示そうとする。
こんなに切羽詰まって悲壮感のあるのは、『君が望む永遠』以来や(交通事故の後のやつね)。生きるためではなく、死なないでいるための行為。
そして、弟は変わり始める。姉は壊れたままでいい。無理に治そうとするのは姉にみじめな思いをさせるだけだ。だから、自分が支えていけるように、将来のことを考えて勉強に打ち込む。この弟がカッコいい。
「姉ちゃん いままで よくがんばったな
俺が本気になったから 姉ちゃんはもうゴールだ」
ここ、涙が止まらない。えっちなマンガなのでそんなシーンはふんだんにあり、実用度は高い。だが、ふたりの思いやりが強すぎて「よかったね……よかったね!」という感動の方が上回る。
近親相姦ものの場合、結婚や妊娠というハードルがある。弟は結婚の約束をするのだが、その後の展開がまさに神がかっており、最後のページでも泣いてしまう。人生に躓いてしまったとき、そばに誰かがいること。その、かけがえのないことに、あらためて気づかせてくれる。
何度でも言う、都合が悪いのは現実でたくさんだ。だから、せめてフィクションの中では、幸せな記憶を。
「この本がエロい!2019」は以上の通り。お薦めの作品があれば、ぜひ教えて欲しい。なぜなら、わたしが知らないエロ本は、きっとあなたが読んでいるのだから。
よいエロ本で、よい人生を。
だから、せめて、イメージの中で男や女を楽しもう。理想化された身体&キャラで、都合の良い関係性の中で、泣き、笑い、胸をときめかせ、興奮したい。えっちな本に目的があるとするならば、これだ。
だから、男は筋肉マッチョの秀才である必要はなく、黒髪ロング巨乳処女である必要もない。むしろ、フツーの、「ありえたかもしれない高校生」の世界線の一つだったり、「ありえない世界におけるいまの自分」であるほうが良い。
『求愛エトランゼ』(ホムンクルス)[FANZA]
『はじらいブレイク』からお世話になっているホムンクルスの最新刊。画力、構成、ストーリー、えっちシーン全てにおいて完璧オブ完璧。ええ、もう、今年も大変お世話になりました。好き合う二人が、不慣れな状況を乗り越えて結ばれるという、王道直球のエロスが素晴らしい。
特に、不思議な石の力により、近づくだけで発情しあう「恋ひ結び奇譚」は、「好きじゃないのにおかしくなっちゃう」オカルティック・ラブという新しいジャンルを垣間見る思い出し、ハイティーンのバージン喪失が多い中、シングルマザーと高校生男子がむさぼりあう「ヒメゴトハニートラップ」が最高なり。
もうね、NTRや調教、異様なシチュ、意に沿わない行為といった「現実の優化コピー」は要らない。そんなんはアプリや掲示板にいくらでも転がっている。わたしは、現実から目を背けたくてえっちなマンガを読む。愛し合う二人が、さまざまな障害を乗り越え、嬉し恥ずかし結ばれる、そんなドキドキを何度も味わいたいが故に、えっちなマンガがあるのだから。
円光おじさん(師走の翁)[FANZA]
『アイブカ!』からお世話になっている師走の翁のシリーズ傑作。円光というと「贅沢したい女の子が意に反してカラダを売る」というネガティブなイメージがある(なぜなら現実がそうだから)。だが本書はその真逆で、おじさんとのするのヤバいスゴいキモチいい! というポジティブ全開なのがいい。
このおじさん、ぽっちゃり会社員の外見ながら正体不明のお兄さん。なぜか現金を大量に持っており、大盤振る舞いするだけでなく、女心をこの上もなく大切にし、さらにイキポイントも的確に押さえている円光のプロフェッショナル。
一番楽しかったのが、手マンカラオケ。JK3人とカラオケボックスに行くんだけど、おじさんがこんな提案をしてくる。
1.手マンされながらカラオケ90点以上を目指しちゃお !!
2.参加料は3マン円 90点以上とれたら10マン円 !!
3.曲が終わるまで手マンは止まらない
4.感じる状態から開始するため、歌う前に別室で5分間、愛撫タイム
もともとは、手コキカラオケだそうな。いわゆるハッピータイムのあるお店に行くと男性が受けられるサービスのやつ。
カラオケ行きまくっている女子高生なら、90超えるのあたりまえ。そこで問題は4. になる。愛撫タイムの5分間、さぁどうする? と構えていたら、予想外の(そして完璧に正解の)行為に及ぶ。おじさんおそるべし。
現実にはありえない、可愛い女の子がいちばん可愛くなる表情と身体を、余すところなく見ることができる。師走の翁の素晴らしいところは、女の子の柔らかさ。女の子の身体に触れるときに沈む指先や、下着を外した後の自然の重みで、柔らかさをリアルに見て取ることができる。明るく楽しい円光ならこれ。
てんぷてーしょん(Reco)[FANZA]
好き好き大好き超あいしてる。こんなに可愛い女の子が、これほど貪欲に迫ってくる。
がんばったご褒美にシて欲しい……と迫ってきたり、イジワルされて嬉ションしちゃう女の子の話など、非実在性女の子ばかりなり。夢ではないかしらん(夢だけど)というあらゆる雄の望みを、そのまんま夢見させてくれる。
一番グッと来たのが「こあくまセルフィー」。えっちなネットの写真を見ていたら、「そんなのが好きなの?」と先輩女子に見とがめられ、以後、続々と彼女の自撮りが送られてくる展開に。最初は悪ふざけで、パンチラ胸チラ程度だったのが、だんだんエスカレートしていき……なんだけど、いたずら度が妙にリアルで気色良い。
ずいぶん男に都合のいい展開ばかりだけど、これでいいのだ。都合が悪いのは現実で十分だから、現実なんか犬にでも喰わせておけ。
昔はカッコよかった(すぺ)[FANZA]
えっちなマンガで号泣するなんて、思ってもみなかった。
「昔はカッコよかった」のは姉だ。努力家で優等生で、テレビのインタビューも受けていた。でも、姉は頑張りすぎて心を壊してしまった。「あんなにカッコよかったお姉ちゃんは、もう一人では何もできなくなってしまった」。
その姉を間近で見ているのが弟だ。昔からお気楽で、成績もたいしたことない少年だ。だが、姉が心身を病んでしまったことは分かる。両親ともに心配しているが、その心配こそが姉の負担になっていることも分かる。このままだと、姉は、何もできない自分を責めるあまり、自殺してしいかねないことも分かる。
なにか、なにかできないか? 姉を現実につなぎとめ、「生きていたい」と思ってもらえるような、今からでも間に合うこと。
そこで、緊急避難的に姉を求める。
このシーンは胸を撃つ。お互いに好きで大切に思っている。そして、初めてのことだからどうしていいか分からずとまどっている。それでも、「お姉ちゃんが欲しい、(だから死なないでいて欲しい)」ことを、行為で示そうとする。
こんなに切羽詰まって悲壮感のあるのは、『君が望む永遠』以来や(交通事故の後のやつね)。生きるためではなく、死なないでいるための行為。
そして、弟は変わり始める。姉は壊れたままでいい。無理に治そうとするのは姉にみじめな思いをさせるだけだ。だから、自分が支えていけるように、将来のことを考えて勉強に打ち込む。この弟がカッコいい。
「姉ちゃん いままで よくがんばったな
俺が本気になったから 姉ちゃんはもうゴールだ」
ここ、涙が止まらない。えっちなマンガなのでそんなシーンはふんだんにあり、実用度は高い。だが、ふたりの思いやりが強すぎて「よかったね……よかったね!」という感動の方が上回る。
近親相姦ものの場合、結婚や妊娠というハードルがある。弟は結婚の約束をするのだが、その後の展開がまさに神がかっており、最後のページでも泣いてしまう。人生に躓いてしまったとき、そばに誰かがいること。その、かけがえのないことに、あらためて気づかせてくれる。
何度でも言う、都合が悪いのは現実でたくさんだ。だから、せめてフィクションの中では、幸せな記憶を。
「この本がエロい!2019」は以上の通り。お薦めの作品があれば、ぜひ教えて欲しい。なぜなら、わたしが知らないエロ本は、きっとあなたが読んでいるのだから。
よいエロ本で、よい人生を。