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劇薬マンガレビュー

 はてなでの質問「トラウマンガを教えてください」[参照]をした1週間前までは、「はてな村」の連中はヌルいと思ってたわたしが間違っていた。甘ちゃんなのはこのわたしだッ!この場を借りてお詫び&感謝&喝采を挙げる。…というのも、わたし自身が封印していたトラウマンガの記憶を呼び起こしてしまったから。キツい悔恨とともに記憶の海溝へ沈めた凶作品を思い出してしまい、質問するんじゃなかった…と、いま、二重に後悔している

 そんな、心を陵辱されるマンガがある。こんなの喜んで読んでいる奴の気が知れぬと思う一方で、そのパワーはとてつもない。わたしをつかまえて離さない強い魅力(というか念)が込められている。

 くり返すが、ふつーの人は目を背けるマンガがある。オトナが読んでもトラウマになる可能性が充分にある。そういう作品は分かるように明記しておくので、興味本位で手を出さないように警告する。また、★は劇薬度を表し、5段階評価。劇薬度とオモシロ度は比例しないので注意

トトの世界■トトの世界(★)

 いきなり例外、これは良い。さそうあきら氏といえばまず『神童』なんだろうが、これは激しくオモシロかった。トラウマなところはアソコとアソコなんだろうが、紹介された場が場なので、予想はついてた(それでもウッとなった)。予備知識なし&リアルタイムで読んでたらショックを受けていたかも。

 回収されない伏線や、"遺棄"されるキャラクターは内心もったいなく思うのだが、「お話」そのものの魅力に強く惹きつけられる。夢中になって読んでいると、人を人たらしめている本質は何か? について鋭い問いを突きつけられている。

 グロ絵は確かにあるけれど、びっくり箱のようなもの。むしろ、怒涛の後半、トトの秘密が明かされていく過程が恐ろしい。序盤で投げつけられた「言葉の世界で地獄を見る」ことの本当の意味が分かるとき、読み手はトトと一緒になっておののくに違いない。面白いマンガはないか? という質問に自信を持ってオススメできる秀作ナリ。

エルフェンリート■エルフェンリート(★★)

 ここからグロ度は上がるが、ウォーミングアップのつもりでこれを紹介する。萌え+グロ+バイオレンスの三拍子そろってて、アニメにもなってるそうな。絵的に萌え志向なので、とっつきやすいと思ってると、いきなりガツンとやられるので注意。残虐シーンを精密に描き尽くす作者ではない。飛び散る血潮や引き出される臓物のグロさはたかが知れている。ただし、その意外性にビックリするだろう。え、こいつを殺るの? というカンジで重要キャラが次ページでプチっと裂かれているのは慣れるのにてこずる。

 絵的にアレなことと、エログロバイオレンス展開なため、メガストアあたりで連載されてたなら首肯できる。しかし、ヤンジャンとは…読者も気の毒なことだっただろう。あ、でも孔雀王もハッピーピープルもYJだったから耐性はあるのか(古っ)。序盤のあたりでペギミンH を思い出した(これも古いねぇ…)

ラヴレターフロム彼方(★★★★)

 地雷。どっかで読んでて、あまりのイヤさ加減に読んだ事実すらDELETEしようにも消せないので、何か別の記憶を無理矢理オーバーライトしたはず←そのタガが外れてしまった。読まなきゃよかったと、今激しく後悔している正真正銘のヘンタイマンガ。

 小学校の教師が女生徒を陵辱するとこまでは普通のエロマンガだが、その出し方が極めて異常。全身の穴という穴をタコ糸のようなもので縫いとめてしまう。ただし、下の穴と口腔のみ残し、『おまえはその二つの穴だけで世界とつながるんだ、その穴だけでわたしを感じるんだ』などとおっしゃるセンセは、わたしの想像の彼方へ逝っている。トドメは彼女の指を切除して○○に差し込んで、授業をするセンセ、もうヤメてと本気で思ったね。映画でたとえるならば、『八仙飯店之人肉饅頭』と『ネクロマンティック』を足したぐらいの危険度。

 あなたがどんなにドスケベでエロでグロでマニアックな想像をしたとしても、そいつを軽々と凌駕する深刻さを持った作品ナリ。けっしてオススメはできないが、死体の肢体をもてあそぶ性癖を持つ人は、どのような思いでいるのだろうかといった思考実験ができる。

真・現代猟奇伝■真・現代猟奇伝(★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★)

 「コンクリート」について、ネットや書籍でいくつか読んできたので、話は知っていた―― が、あらためてマンガで読むと酸っぱい思いがこみ上げてくる。とても読めないが、読んだ。はっきりいって、面白くない、エゲツないだけ。それでも魅入られたかのように、読んだ。

 マンガには描かれていなかったが、書籍によると、彼女の存在を知っていたのは、「コンクリート」に関与した数人だけではない。彼女が「使える」ことを、少なくとも十数人の子どもたちは知っていた。その子たちは実際にその部屋に入り、彼女を見た、というところまでは記録されているが、その後何をしたかは、知りたくない。書きたくない。

 「クソガキどもを糾弾するホームページ」のログは、まだ残っているようだ。恥ずかしげもなく「ネットサーフィン」が使われていた時代、このサイトを全読した。読みながら目の前が真っ暗になった。これは、はてなでも質問されていたようだ[はてな]

 どす黒い感情を心ゆくまで味わうことができる。ふつうの人が興味本位で手を出すと嘔吐する。文字通り、読み手に大ダメージを与える劇薬だと思ってもらいたい。最も鬱になれたのは、本書のほとんどの話をどこかで読んだ記憶がある、ということ。つまり忘れよう、忘れたいと願って、記憶から消していたこと──本書により蘇るまでは。読むんじゃなった…

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